マルチ(4気筒)と、比較される事の多いドゥカティLツインエンジン。
ユーザーさんも多い反面、性格や特徴を理解しておられるようでも「?」な部分も有るのではないでしょうか。
今日はその辺を少し掘り下げてみたいと思います。
誕生の経緯とかは例によって端折ります(笑)。
まず、エンジンの寸法です。
当然4気筒より狭いです。
それどころか幅は単気筒より少し広い程度なので英国製バーチカルツインにハンドリングで対抗するにはうってつけだったようです。
また、空冷Lツインに限った事なのですが、ホリゾンタル(水平=シリンダーが寝ている方)とバーチカル(直立している方)では冷却フィンの向きが違います。
走っている限りは常に両方のシリンダーに風が当たるんですね。
エンジンの特性ですが2輪・4輪含めてイタリア車の殆どは「回りたがり屋さん」です。
勿論ドゥカティも例外ではありません。
あまり低回転(2500回転以下)だと後述する爆発間隔のせいで少しギクシャクしがちですが最近のディアヴェルを始めとする「テスタストレッタ11°」はかなり乗り易くなっています。
マルチとの比較ですが低速域からでもアクセルを大きく開けてやれば「ドンッ」と加速していきます。同じ事をマルチの同じ排気量でやると何速に入ってるかによりますがジワーっと加速していきます。これは同じ排気量でもシリンダーの数が少ない分、1気筒当りの排気量が大きく爆発力も大きい為です。
ここまでは他の2気筒とあまり変わりません。
これからがドゥカティLツインの隠れた真骨頂ともいうべきトラクション(駆動力)の話になります。
とはいっても270°クランクの話はちょっとややこしくなるので簡潔に・・・
爆発間隔が不均等と言われてますが、まずはBMWにも採用されてる均等間隔です。
ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・。メリットとしては超低速から高回転まで「ブブゥーーン」という感じであまり抑揚なくキレイに回っていきます。
不均等爆発の場合、ドドン・・・ドドン・・・ドドン、という感じで不整脈っぽいフィーリングです。
この「ドドン」の最大のメリットは何と言っても「トラクション性能」ではないでしょうか。
滑りやすい路面の場合、爆発時にスリップ、非爆発時にグリップ、これを繰り返す事でリアタイヤが横にスッパーンと逃げずにズルズル滑りながらも前に進む、と言えばお分かりになりますでしょうか。
ただしトラクションコントロールではないので転倒しない訳ではない、とご理解ください。
もちろん電子制御のトラクションコントロールもですが。
(ちなみに、ですが私も昔サーキットで開けてコケましたw)
以上のような理由によりマルチシリンダーよりも早く大きくスロットル開けられる分、サーキットのレイアウトにもよりますが最高速で劣ってもサーキットでのラップタイムはトータルで変わらない、という結論に至ります。加速のドゥカティ、最高速のマルチシリンダーという感じですね。
SBKでのドゥカティの強さ=Lツイン+270°クランクによるものと言えるでしょう。
もちろん、市販車を公道で走らせてもドゥカティの楽しさは変わりません。
あの「ギューーーン」という独特の天井知らずな加速フィーリングは乗った人にしかわからない世界です。
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